引退公演
明転、舞台上にA(便宜上ABCとするが、これから出てくる登場人物には役者の本名をあてる。その上で、口調などもこの台本に縛られず、演者のパーソナルに委ねて変えていただきたい)
A「え、何、どこ、ここ。あれ、え?」
B「(舞台裏から)おい、A、どうした」
C「(同じく舞台裏から小声で)ほら『恥の多い生涯を』」
B「いや。セリフ飛んだわけじゃなさそう」
C「A、どうしたんだよ」
B、C、舞台裏から出てくる。しかし、ふたりとも貼り付けたような笑顔
A「うおっ!誰、アンタたち!?……あれ……Bと、C。どうしてここに、ていうか、よく見たらここ部室?」
C「ふざけてる?」
B「いや、そういうやつじゃないだろ」
C「まあ、そうだよな。突発的な記憶喪失とか?」
B「うーん……すみません、お客さん。一旦、タイムで」
C「タイムとかないだろ」
B「俺たちの名前は?」
A「B、C」
C「ここがどこか分かる?」
A「えーと、部室だよね。多分」
B「いま何やってると思う?」
A「何かの公演?」
C「今、西暦何年?」
A「2044年(公演年から20年後の西暦)」
B・C「2044年?!」
A「え、違う?」
B「2024年だが」
C「令和6年の」(どちらも公演年の西暦と和暦)
A「いやいやいや、そんなわけ……あれ、制服着てる。ていうか、BもCも20年前と変わってないし……え、マジ?」
B「こっちが聞きたいよ」
C「やっぱりふざけてるんじゃ」
B「いや、でも反応がガチっぽいぞ」
C「なあ、さっきまでの記憶は?」
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