アルカロイドと春の嘘
名門お嬢様学園が舞台ですが、羽風を男の子にして、共学に変えて頂いても大丈夫です。
時代背景は令和ではなく、昭和〜平成初期あたりの雰囲気を考えています。
    
①宮代櫻子(みやしろ さくらこ)主人公。ごく普通の平凡な女子高生。人気者の絢音の友人。
②神宮寺絢音(じんぐうじ あやね)学校の人気者で誰からも好かれる優等生。櫻子の友人。飛び降り自殺で亡くなった。
③羽風ルカ(はかぜ るか)図書委員会の委員長。一人称は「僕」で、変わり者のアルカロイドと言われている。図書室を自分の城と言い、いつもそこで過ごしている。
④⑤⑥絢音の母親、先生、司書
        
舞台 学園の図書室。長テーブルと椅子二脚。
長テーブルの下手側の席が羽風の定位置。配置は任せます。
       
開幕
舞台前方 スポットライト。
櫻子と絢音 横並びで、手を繋いで立っている。(後ろに椅子)
       
櫻子&絢音「大人たちは言う。『青春は美しいものである』。」
       
櫻子「彼らは知らないのだ。少年少女たちの微笑みは、時に残酷で、時に狂気を含んでいることを。」
       
絢音「答えのわからない難問を目の前に、もがき、苦しみ、それでも前を向いていくしかない。」
       
櫻子「わたしたちは、この青い春を泳ぎながらどうにか正解を見つけ出そうとする。」
       
絢音「正解なんて、ーー永遠に分からないのに。」
       
櫻子と絢音 手を離し、椅子に座る。
上手から先生が現れ、舞台を歩き回る。
       
先生「皆さん、よろしいですか。命は神様からの貴重な贈り物です。あなたがこの世に生を受けたこと自体、奇跡なのですよ。」
       
櫻子と絢音 顔を向かい合わせ言葉を交わす。
       
櫻子「絢音。先生、今日はとても気合いが入っていらっしゃるわね。」
絢音「見ていられないわ。まるで下手な演劇を見せられているよう。胡散臭いったら。」
櫻子「そんな言い方ないでしょう。私たちに大切なことを教えてくださっているのよ。」
先生「そこ!神宮寺さんに宮代さん!?大切な話の最中ですよ、私語は控えなさい!」
        
2人 肩をすくめ、声をひそめる。
       
櫻子「…まあ、怖い顔。あんなに怒らなくたっていいのに。」
絢音「それにしても馬鹿馬鹿しいわ。なぜ自分の生死を、他人にどうこう言われないといけないの?どうせ人はいつか死ぬのに。それが早いか、遅いかだけよ。」
櫻子「あらあら、本の読みすぎでわたしの親友は哲学者になってしまったのね。」
絢音「どうせ頭の硬いつまらない人間って言いたいんでしょう。」
櫻子「いいえ。絢音のそういうところ、わたしは好きだわ。」
       
2人 笑顔のまま前を向く。
       
先生「ですから、このことをどうか胸に刻み生きてください。自分を慈しみ、周りの人を心から愛してください。それが人生を美しく、輝かせるのですから!」
       
2人 立ち上がって拍手。そのまま絢音側の照明を暗くし、櫻子にだけスポットライトが当たるようにする。(絢音 上手&先生 下手 椅子を片付けながらはける)
       
櫻子「特別授業で、命の尊さ、生きることの素晴らしさを教わった日。美人で、人気者で、誰からも好かれていた親友の絢音は校舎から飛び降りた。」
       
櫻子「その日は、奇しくも彼女の誕生日。クラスメイトからお祝いされ喜ぶ、その笑顔は忘れられない。」
       
下手から憔悴しきった喪服姿の絢音の母が出てくる。櫻子 絢音の母のもとへ駆け寄る。
       
絢音の母「櫻子ちゃん….。」
櫻子「お母様…。この度は本当に…何と申しあげたらいいか….。」
絢音の母「ねえ、どうして…?どうしてあの子は…死んでしまったの…?」
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