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チイサナソラ（2010）

Les Semirables

チイサナソラ〜Les Semirables〜

＜登場人物＞

　蝉１（うるさいロックンローラー）
　蝉２（ニヒルなインテリ気取り）
　蝉３（引きこもり気味のロマンチスト）
　蝉４（お調子者の大食感）
　人１
　人２
　案内人
　声１（天気予報）
　声２（天気レポート）

　朝の光が射している舞台。
　とある公園。
　季節は冬の終わり。
　人１、人２が会話しながら現れる。

人１　あー、寒い！
人２　まだまだ冷え込む日が続きますね。
人１　あの話…さすがに進展あった？
人２　え、いや、実は昨日もチャンスを逃してしまって…。
人１　また？それでも本気？
人２　本気だからこそ行動に移せないんですよ…。また明日がんばってみます。
人１　…そう言いながら結構経つよね。
人２　が、がんばります！

　人１、人２の会話が続く中、案内人が現れる。

案内　季節の移り変わりとは早いもので、気が付いたときにはもうこんな時季に。やろうと思っていたことも、やらなければいけなかったことも、いつの間にやら先送り。でもご安心ください。それが本当に必要なことだったら、いつかやらなければならない時がやってくるものです…と、言うのは私たち人間のエゴなのかもしれません。さあ、時計の針を少し、ほんの半年ほど巻き戻してみましょう。それはいつもよりも短かった一瞬の季節。しかし、確かにそこに存在していた、夏の思い出…。

　人１、人２は上着を脱ぎ、夏の服装になりながら退場。
　それを見届けてから案内人も姿を消す。
　夜明けを待つ大地のように、ひっそりとした闇。
　まるで朝焼けのように、舞台にうっすらと差し込む光。
　舞台には乱雑に重ね着をした影がうずくまっている。
　どこかのラジオが天気予報を告げている声が聞こえる。

声１　おはようございます。それでは、８月１５日水曜日、全国の天気です。日本列島は勢力を強めた太平洋高気圧に覆われ、全国的に強い日差しと共に気温が上昇。各地で真夏の暑さとなるでしょう。山沿いの地域では大気の状態が不安定になりますので、雷雨にも警戒が必要です。続いて全国の天気、まずは九州沖縄地方から……。

　徐々に遠ざかっていくラジオの声。
　それと入れ替わるように舞台に差す光が強くなる。
　人１と人２が登場する。

人１　おはよう！
人２　おはようございます。
人１　天気予報見た？今日も暑くなるってさ。
人２　そうみたいですね。夏だから仕方ないですけれど…。
人１　あ。そう言えば、あの話、どうなった？
人２　え？ああ、あの話…。
人１　そう。その話！あの人に話した？
人２　いや、それが…。やっぱりなかなか言いにくくって。
人１　まあ、気持ちはわかるけれど、そろそろ勝負でしょ！
人２　はい…。ま、また明日アタックしてみます。
人１　必要なら協力するから。
人２　よ、よろしくお願いします。

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