ジェリコの壁〜絶対不可侵領域〜

『ジェリコの壁〜絶対不可侵領域〜』

  暗転中に

部長「お前の目の前に壁がある。だとしたら、どうする?壁は越える為にあるんじゃねえ。壊す為にあるんだ。
   目の前に、壁があったらぶっ壊せ!」

  明転。
  部長を中心に他4人が扇状に並ぶ。

部長「この広い広い宇宙の中に、自分というちっぽけな存在がいて、この広い広い宇宙の前に、もはや壁なんてないんだ!」

  暗転

  明転
  4人が舞台前の壁に耳をつけている。壁の向こうの音を聞こうと精神を集中。
  部長は奥で威風堂々と座っている。肩にはタオルがかかっている。

夏「おい、聞こえたか?」
秋「ダメだ、なーんにも聞こえない」
夏「春彦は?」
春「何も」
夏「くそっ、なんか聞こえないかな」
冬「ねえ、やっぱりマズいよ」
夏「何が」
冬「だから……こういうことはさ」
夏「とか言いながらお前だってめっちゃ聞き耳立ててるじゃないか」
冬「それは……」
夏「気になるだろ?」
冬「…………」
夏「気になるよな?」
冬「そりゃ……なるけどさ」
夏「だろ?だったら黙って集中集中」
秋「あ、いまポチャって聞こえた!」
夏「マジで!?マジで!?」

  4人、集中。

夏「ダメだ、聞こない」
春「あ、ここに穴が……」
夏「何!?ちょっとどけ!」
秋「ズルい!俺にも見せろ!」
冬「……(すごく気になる)」
  
  夏と秋が奪い合いながら穴を覗く。春はその間他の穴を探す。

夏秋「おおーっ!!」
  他二人注目。
夏「見えねー」
秋「見えないなー」
春「と、見せかけて」
新しい穴に全員集合。
4人「おおーっ!!」
夏「ないなー」
秋「ないな」

  4人等間隔に並び腰に手をあて胸を張る。

夏「あー」
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