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カリスマ錬金術師

傾城恋愛学入門〜初級編〜

　　　　　　傾城恋愛学入門〜初級編〜

　　　　　　「カリスマ錬金術師」

　　　　　　　作　中島　奈美
　　

　　　　＊カリスマ錬金術師のジュピター川崎が、両腕一杯に、書物や実験道具を抱えて現れる。
　　　　　彼は、その皮肉たっぷりで、ヒトを小馬鹿にするような口調とは裏腹に、
　　　　　態度のほうはなんとなく自信なさげで落ち着かない。
　　　　　また、人と目が合うとすぐに逸らしてしまうので、シャイな感じもする。
　　　　　彼は、落ち着かない様子で、持ってきた物を教壇に並べると、下を向いたまま咳払いを繰り返す。

ジュピター　コホン・・・コホン・・・コホン・・・・・
　　　　　　諸君、ご静粛に！　（目を合わせないで）
　　　　　　コホン・・・コホン・・・コホン・・
　　　　　
　　　　　　伊藤先生が、今週から産休に入られましたので、
　　　　　　彼女に代わって今からこの授業を受け持つことになったジュピター川崎です。
　　　　　　では、・・・・・さっそく、授業を始めさせていただきましょうかねぇ・・・
　　　　　
　　　　　　ハッ？　自己紹介？　・・・私のですか？
　　　　　　私の自己紹介なんていいでしょう。　
　　　　　　私なんて知ったって何の得にもなりませんよ。・・・ええ・・ええ・・そうです。
　　　　　　今は一介のしがない錬金術師ですが、
　　　　　　将来は一流の魔法道士になるべく、日々修行を続けています・・・何か？
　　　　　　
　　　　　　え？　違いますよ！　薔薇十字団系の錬金術師ではありません！
　　　　　　私は、秘密結社に守らなければ活動できないような柔な人間じゃありませんからね。
　　　　　　・・・十六世紀にヨーロッパで活躍した偉大なる魔法道士、
　　　　　　そして天才錬金術師でもある『パラケルスス先生』の正当な流れを汲むものです。・・・・・
　　　　　
　　　　　　ええ、知ってますよ。　
　　　　　　この学園の学園長が、薔薇十字団の幹部だということは、十分承知していますが・・・・・
　　　　　　まあ、いいじゃないですか、そんなことは、・・・
　　　　　　フッ（ニヒルに笑う）
　　　　　　・・・私のことは、一種のスネ者と捉えてもらって結構です。それでは・・・
　　　　　　時間がもったいない。　
　　　　　　とりあえず、実験を始めましょう。
　　　　　
　　　　　　まずは、『ホムンクルスの造りかた』からいきましょうか。・・・・・
　　　　　　これについては、伊藤先生からどんな説明をうけていたのかな？　・・・・・
　　　　　
　　　　　　知らない？　
　　　　　　・・ホムンクルスを知らない？　・・
　　　　　　ホムンクルスですよ。　
　　　　　　ホムンクルス！　
　　　　　　サマーセット＊モームの有名な小説『魔術師』の中にも出てくる、
　　　　　　フラスコの中で造る人造人間のことです。・・・・・
　　　　　
　　　　　　あ、・・・そう・・・聞いてない・・・・・
　　　　　　マーメイド伊藤先生から、何も聞いてないんですか、

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