演技練習10「水族館の川魚」
演技練習10「水族館の川魚」男3

伊藤 お、魚、ほら見て、ほら
江本 おー、いるな、魚
伊藤 なにこれ、アユ?
江本 わからん、どれがどの説明かわかんねぇ
伊藤 わざわざ水族館来て川魚見る人なんていないよな
木島 いるよ
江本 え?
木島 いるよ、ここに、サンシャイン水族館川魚愛好会、木島敏夫がいるよ、ここに
伊藤 え、怖い、変な人だ
木島 見て、ほらあれ、あの魚、あれはカラープロキロダス、通称恵、ほら見てよく見ると恵がいーっぱい!あれも恵、あれも恵、あれは……恵だ!
伊藤 おい、もう行こうぜ
江本 ……なんで通称は日本の名前なんだ?
伊藤 食いつくなよ!
木島 それはね!それはね!ほら、みて恵の顔
伊藤 もういいって行こうぜ
江本 ……なんかすげぇしゃくれてんな
伊藤 おい江本ー
木島 私の妻に似てるんだ
伊藤 ん?
江本 ……あーー!た、確かに大きな目とか、すごい可愛い!
伊藤 いいよ、江本、紛れもなくあの魚は不細工だよ
木島 髪はないけど、確かに恵にそっくりなんだ
伊藤 いや、奥さんに怒られるだろ
木島 妻はもういない……
江本 そんな……
伊藤 おじさん……
木島 私と恵は年に一回アマゾン川で釣りをするのが大好きだった、でも、あの日はー、雨がす
ごかったんだ。私たちは雨雲から逃げるように車に戻った……
江本 それで、木島さん!どうなったんですか!恵さんは……恵さんは!
伊藤 おい江本!おじさん!いいですよ!辛いですよね、無理しないでください!
木島 車に戻って気づいたんだ
江本 (泣いてる)
木島 カラープロキロダスが恵に似てるってね
江本 え?
木島 それ以来、恵は口を聞いてくれなくなった。そして、日本に戻ったころには恵はいなくなっていた
伊藤 いや、あんたのせいかよ!

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