夢の形
「夢の形」
息子(たかし)
父
母
Vtuber(アイドル風の女の子)
息子が部屋で寝転がってYouTubeを見ている
そこへ父が入ってくる
父「お~い、たかし。さっき要るって言ってた辞典、持ってきたぞ」
息「あ~うん。ありがと。その辺に置いといて。」
父「はいはい、じゃあ机の上に置いとくぞ。で、さっきから何してるんだ?」
息「何って、普通に動画見てるだけだけど」
父「何の動画だ?」
息「なんで父さんにわざわざ言わないといけないんだよ。」
父、机の上のマンガを見つけて
父「もしかして、こういうのか?よし、今度父さんがこの女の子を描いてやろう」
息「なんだよいきなり。第一父さんに描けるわけないだろ。絵なんて棒人間とか豆粒みたいなのしか描けないくせに」
父「……。あぁ…そうだな。(辺りを見回し)
よし、じゃあ今度一緒にゲームでもするか?ほら、マリカーとかどうだ!?」
息「前やった時まともに操作できてなかったじゃん」
父「……。じゃあギターするのはどうだ?歌いながらさあ、昔よくやってなかったか?」
息「……。ギターはもう、いいよ。」
父「ん?そうなのか?バンドマンになりたいって前に言ってなかったか?」
息「昔の話でしょ、それ。オレには無理だよ。」
父「そうかぁ。父さん応援してたんだけどなぁ」
息「無理だって。オレなんかじゃ、どうせうまくいかねーよ。ヘタに夢追いかけるより、そこそこ良い会社目指す方がよっぽどいいでしょ」
父「たしかに世間的に見ればその方がいいかもしれんが。父さん、たかしにはできる限りやりたいことやってほしいと思ってるんだ」
息「いいよ、そういうの。」
少しの間、真剣に向き直って
父「いいか、たかし。努力すればなんでもできるとまでは言わないが、挑戦してみないと何も分らん。人生ってのは長いんだ。父さんだって、やろうと思えばまだ何かできるかもしれない。たかしはまだ若いし、いくらでも選択肢はある。やりたいことやってみたらどうだ?」
息「だからもういいって。平社員の父さんにそんなこと言われても説得力ないし!早く出てってよ。」
少し肩を落とし、父さん部屋から出ていく
息「はぁ…」
ため息をつき、また動画を見始める。しばらくして
V「みなさん、初めましてこんにちは!」
息「わぁ!びっくりした。何?」
V「新人Vtuberの○○○○○○です!活動場所はYouTubeで、歌とかお絵描きとかASMRなんをやる予定で…」
息「なんだVtuberか。」
息「ふーん、結構かわいいな。チャンネル登録しとこ」
立ち上がり、机の上をみて
息「って、父さん本間違ってるじゃん!返しに行かないと…」
部屋を出て、父さんの書斎へ。扉を開けながら
息「父さーん」
父「(息子に気づいていない様子で)(Vの声)じゃあね、バイバ~イ!」
目の前のパソコンの画面にはさっきみたVtuberの姿が。父さんの動きとリンクしている
父「ふぅ。しかし、このトラッキングスーツだっけか?めちゃくちゃ暑いな」
息子、持っていた本を落とす。ボトンッ
息「え...」
父「た、たかし!?」
息「父さん…」
父「ち、違うんだ!これは、その…」
息「ねえ、父さんなの…?でも、声が…」
父「いいや、違うんだ!これはその….....」
父「(うつむき、もはや諦めて)あぁ。」
父「最近の技術はすごくてな」
息「......」
息「そんな…嘘だ…。」
息「父さんが…VTuber…。うわぁぁぁぁぁぁぁ」
たかし、部屋を走ってでていく
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