恋出水係長の憂鬱 Mission2
~小悪魔業者編~
恋出水係長の憂鬱
「小悪魔業者編」
恋出水しげる(係長)36歳 独身
マスター(喫茶JUN経営)
東山さくらちゃん(おしぼり業者の営業)
東京赤羽区にある落ち着いた喫茶店「喫茶JUN」
夕方の時間帯のせいか客は居ない。
そこへ恋出水がやってくる。
マスター「いらっしゃーい、毎度〜。」
恋出水「いや〜疲れた疲れた。」
マスター「お疲れかぁ〜、ご苦労さん。いつものでいい?」
恋出水「あ〜今日はアイスコーヒーにしようかなぁ。喉カラカラなんだぁ。」
マスター「ほうほう。」
マスター、アイスコーヒーを作りにカウンターへ。
恋出水「ほらあれよ、新入社員の歓迎会でさ。毎年恒例の花見。」
マスター「あ〜そんな季節だねぇ。」
恋出水「花見の場所取り、セッティング、ケータリングの手配とさぁ、もうめちゃくちゃ忙しかったよ。」
マスター「今年もしげちゃん大活躍ってわけだ。」
恋出水「やだなぁ、大活躍だなんてもう。でもぉ?まぁ?あの大人数を捌けるのって、あの部署じゃやっぱ僕くらい?かなぁ」
恋出水、疲れているらしく背広を脱ぎネクタイを緩めていく。
だんだんとだらしない格好になる恋出水。
マスター「あはは、あはは。」
恋出水「総務係長も楽じゃないよ〜(まいったまいった)」
マスター「だねぇ、しげちゃん入社してからずーっと花見の手配してるよね。なんてったっけ?ニュージーランドだっけ?」
恋出水「そう!ニュージーランドよ!ほらほら、想像して!」
マスター「うんうん」
恋出水、マスターの肩を抱き目の前を指す。
そこは上の公園、満開の桜が二人の目の前に現れる。
恋出水「季節は春!上を見て!満開の桜!ピンクピンク!圧倒的なピンクだよ!」
マスター「うふぅキレイだぁ」
恋出水「だがここは上野公園!桜の下を埋め尽くすのは酒に酔い、吐き戻しを繰り返す浅ましい花見客だ!!」
マスター「いやだねぇ。」
恋出水「油断すると場所を横取りしようとするずうずうしいママ友グループをでぃあっ!(チョップ)と牽制しつつ場所を死守する僕!!」
マスター「がんばれ!しげちゃん!」
恋出水「そうこうしていると会社の連中が到着するよ!そうして小一時間が経過・・・。40人ほどの荒ぶる花見会社員たちの猛攻撃がこの僕を襲い始める!」
マスター「スペクタクル!」
恋出水「酒に酔った会社員は自制がほぼ効かない!木に登りだす若手営業マン、その場で立ちションしようとする品質管理部長!それらを逐一矯正するの!」
マスター「キャーだいぶ出来上がってるぅ。」
恋出水「山田君!木に登ったら危ないので直ぐに降りなさーい!武本部長!そこはトイレではありません!チャックから手を離してください!コラ!チャックを触るなっ!チャックを…ダメダメダメ!ズボンを上げなさい!!あっち!トイレはあっちです!そう!そうそう!丑寅の方角です!」
マスター「武本部長はうんこかなぁ。」
恋出水「泥酔し、無礼講極まる凶暴な社畜どもをまるでニュージーランドの羊のごとく一箇所に纏め上げ!餌を食わし飲み物を与え!満足した所を見計らい家に帰す!これが恋出水流花見の幹事よ!」
マスター「すげー見てみたーい。」
恋出水、ひとしきり説明したので満足げに椅子に座る。
恋出水「そう言うけど大変なのよ?手伝いに若い連中も何人かつけてくれるけどさぁ、みんな指示待ちのユトリばっかりで係長これはどうしましょう?係長あれはどうでしたっけ?」
マスター「大変だぁ。でも楽しそうだなぁ、うちなんかそーゆーのは縁がないからなぁ。新入社員が毎年入ってくるって新鮮〜。」
恋出水「まぁうちの会社は無駄に大きいからね。(ちょっと自慢)」
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