幸せ懐疑
  脳・心臓・小腸・肝臓・胃袋が座っている

心臓 「それでは、内臓議会を始めます。一同、礼」

  全員、礼

心臓 「今回の議題は小腸さんからです」
小腸 「はい。私が今回提示したい議題は脳の横暴な素行についてです。脳さん! あなたの暴飲暴食せいで消化管労働組合は大ッ迷惑を被っています! そこら辺どうお考えなのですか!」
心臓 「脳さん。答弁を」
脳 「はーい。これはぁ、私も悪いと思ってるんですよぉ? だけどぉ、ストレスがかかってる時にいーっぱい食べるとねぇ、幸せな気分になれるんですぅ。意識を司ってる私の幸せはぁ、みんなの幸せでしょ? 以上でーす」
小腸 「大腸は今腹痛で倒れているんです! そんなの幸せじゃない」
脳 「大腸が腹痛とかウケる」
小腸 「ウケません! もう、あなたと話してるとイライラします!」
胃袋 「そんな感情的になんなって」
脳 「そーそー、そんなふうに怒ってるとブドウ糖無くなっちゃうんだけどー」
胃袋 「あ? うるせえ」
脳 「おー怖」
肝臓 「ああもう忌々しい。脳は下界のことなど考えてはいないのでしょうね」
脳 「はァ? 下界なんて思ってないもーん。みんな私の大事な友達だよぉー」
胃袋 「現実問題、テメェのせいで被害者が出てんだ。それが大事な友達への仕打ちかよっつってんだよ」
肝臓 「まぁまぁ胃袋さん。そんなこと言ったって崇高なる脳様には届きませんよ」
脳 「かんぞーさぁ、私のことさっきから煽ってんの?」
肝臓 「おっと失礼、つい本音が」
脳 「煽ってるよねぇ!?」
心臓 「脳さん、落ち着いて」
脳 「はぁーい」
心臓 「肝臓さんも神経を逆撫でするような発言は謹んで」
肝臓 「わかりました」
胃袋 「んでよ小腸。お前は脳に何を求めんだよ。わざわざ呼び出して、おはなし会だけで終わるわけじゃねえよな」
小腸 「もちろんです。脳さん、私はあなたにダイエット三ヶ月を求めます! 三ヶ月間、油物、刺激物、過剰な甘味の摂取を制限してください」
脳 「えーっ! 小腸ちゃんさぁ、それはキツすぎない? そんなことしたら私、不幸せすぎて脳死しちゃーう」
小腸 「きつくありません! 今までの生活を少しは反省してください」
肝臓 「小腸さん。それは少し酷かと」
小腸 「えっ、肝臓さんはこっちの味方じゃないんですか?」
肝臓 「消化管からしたら暴飲暴食が迷惑極まりないのは承知の上ですが、やはり精神安定の面は大きいのです。なので一気に制限すると……」
小腸 「すると?」
肝臓 「胃が荒れます」
小腸 「あぁ……。胃が荒れるとめんどくさいんですよねぇ」
胃袋 「今俺の事めんどくせえっつったか!?」
小腸 「荒れた時の胃袋さん怖いんですよ。今も怖いけど(ぼそっと)」
胃袋 「てか、肝臓よォ。お前はどっちの味方なんだよ」
肝臓 「私は中立です。私、消化管労働組合のメンバーでは無いので」
脳 「中立っていうかぁ、あんたは強いやつの味方でしょ?」
肝臓 「黙れひよっこが」
脳 「うるさいクソジジイ(ババア)」
心臓 「二人とも、落ち着いて」
胃袋 「心臓もなにか意見ねえのかよ」
心臓 「議長なので何も言ってはいけないのです」
胃袋 「ふん、そうかよ」
肝臓 「私としては、ダイエットには賛成ですが、過度な制限はすべきでないという感じですね」
小腸 「それは、そうですね。でも脳さんには消化管の現状を聞いて欲しいんです」
脳 「それは興味あるかもー」
小腸 「まず食道! 食道さんはタピオカが苦手なんです。何故か、あなたが噛むという命令を顎にしてないからです。あんなでっかい球、飲み込むのちょー難しいんですよ!」
脳 「それは検討しとくぅ。でもさぁ? あのツルンって感じがいいんだよぉ」
胃袋 「俺からも脳に言いてえことがある。お前、ストレス発散はこまめにやれよ。あんな一気にドカ食いするからストレスは溜まるし、太るし、俺も荒れんだよ」
小腸 「そーですよ! ないんですか、スポーツとかのストレス発散方法は」
脳 「だってぇ、めんどくない?」
小腸 「めんどくない!」
脳 「さっきから小腸ちゃん堅すぎだし、うるさー」
小腸 「それはあなたが怒らせるからでしょ!」
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