ノクターン
ノクターン
開幕
真っ黒な舞台の上。絶対的な静寂。
ひとつのスポットが落ちている。
その下には黒い布包まれた1人の少女が横たわっている。赤子のように丸まっているのがよく分かる。
ゆっくりと起き上がる少女。
それと同時に音が生まれる。
体を上手く動かせないのか不器用に布をめくり上体をゆっくりと起こす。
周りを見渡し、俯く。
そして、ゆっくりと徐々に立ち上がる。
足が上手く使えず何度も転けそうになりながら立ち上がる少女。立ち上がると同時に周りが明るくなる。少女の生まれを祝福している。
じっくりと自分の手足を眺め、触り、そうして体を動かしていく。
少女は踊る。はじめはゆっくりと自分の体に馴染ませるように。
体の動かし方がわかった少女は、動く速さが速くなる。ただ楽しくにこやかに楽しく踊る。舞う花びらのように踊る少女を魅せるために舞台も色づいていく。木漏れ日がおちる日のように、月が輝く夜のように。
踊ることに疲れだんだんとスピードが落ちていくがそれでも踊ることをやめない。息もだんだん荒くなる。それでも踊り続ける。
そして転ける。音がぶつりときれる。
少女は、まだ踊ろうとするが息があがりつづけている。助けを乞うよう伸ばした手は何も掴まず、ただひたすら空をきる。呼吸が荒くなり客席まで呼吸の音が聞こえる。やがて呼吸が落ち着くと共に少女はなにかに絶望したように立ち上がる。
布を被り、自分自身の体を抱きしめ、足を引きずりながら退場。
また、絶対的な静寂が訪れる。
少女、入場。
椅子を抱えている。しっかりとした足取りで、どこか晴れやかな顔をしている。
椅子を起き、手紙を書いている。書き終わるとそれを床におき、椅子に登る。
背伸びをして、縄を持ち、それを首へとかけていく。
暗転すると同時に、椅子が勢いよく倒れる音がする。
閉幕
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