エクスマキナの心
殺し屋シリーズ2部:13話
 とある快晴の日。
 下町では閑静な場所に位置する一件のホームから電子音が鳴り響いている。
 液晶画面に映し出される戦場を見つめながら手を動かす2人。

 やがて1人が口を開く。

センチピード:……ふぅ、ちょっと休憩しましょうか。
ホープ:はい。

 手にしていたコントローラーを置く両者。

センチピード:正直言って驚いたわ。センスあるわね、あなた。
ホープ:ほ、ホントに?
センチピード:ええ。どこかの馬鹿より全然スジが良い。
センチピード:まだ荒削りなプレイも目立つけど、状況把握と判断力がズバ抜けてる。
ホープ:あんまり考えてやってるわけじゃないんだけど……。
センチピード:だったらなおさら末恐ろしいわね。
センチピード:ねぇ、来シーズンの「ユナイテッドバトル」、私と組む気ない?
ホープ:嬉しいけど、やる暇があるかどうかわからないから……。
センチピード:時間は作るものよ。
センチピード:その気があるなら徹底的に鍛え上げてあげる。
ホープ:うーん……。

 奥からコーヒーを持った女性が声をかける。

ブルズアイ:あらぁ、やっと終わった?
センチピード:休憩中よ。あと20戦くらいはやっておきたいわね。
ホープ:えっ……。
ブルズアイ:ほらぁ、ホープちゃん困ってるじゃない。
ブルズアイ:程々にしときなさいよぉ。
ブルズアイ:っていうか私の相手してよムカデちゃん!
ブルズアイ:せっかく来たのにずっと2人でゲームしてるんだもん。
センチピード:嫌よ。今日中にこのミッションは越しておきたいし。
センチピード:あ、コーヒーもらうわね、ありがと。
ブルズアイ:もぉ〜……。
ブルズアイ:ごめんねぇ、ホープちゃん。嫌だったら断るのよ?
ホープ:別に嫌じゃないけど……。
ホープ:いつもこんなにやってるの?
センチピード:序の口よ。
センチピード:ランク上がらなくて喚いてる連中が多いけど、私からすれば量をこなしてから言ってほしいわね。
センチピード:あの馬鹿も同じ。
ホープ:あの馬鹿って?
センチピード:不運(アンラック)よ。
センチピード:そういえばあなた、前に手傷を負わせたんだってねぇ。
センチピード:実戦の方もなかなかやるみたいじゃない。

 首を横に振るホープ。

ホープ:いいえ、手傷を負わすので精一杯だった。
ホープ:まだまだよ、私は。
センチピード:謙虚ね……。まぁ、これから伸びるわ。
センチピード:プレイヤーとしてもゲーマーとしても、ね。
ブルズアイ:ふふ、随分気に入られたわねぇ、ホープちゃん。
ホープ:そう……なの?

 所在ない様子のホープにブルズアイが笑いかける。

ブルズアイ:ねぇ、前から思ってたんだけどさぁ、2人ってちょっと雰囲気似てるよね。

 お互いの顔を見合わせるセンチピードとホープ。
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