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バブルハミング

バブルハミング
伊丹鉄塔：作
【登場人物】
　・ナツキ
　・コソデ

【本文】
１・小袖浜にて

　　舞台、平台が防波堤のように延びる。
　　女子中学生のナツキ、３月の冷たい風を
　　浴びながら、バランスを取るように渡り
　　歩いてくる。
　　ミズキ、海に居る誰かに話しかけるよう
　　に呟き始める。

ナツキ：小さい頃さ、日曜日の朝にテレビを
　点けるとアニメがやっててさ。なんかさ、
　おもちゃのＣＭと一緒に、カレーとか魚肉
　ソーセージのＣＭもやってたんだよね。
　何でかなぁ何でかなぁってずっと思ってた
　んだけど、今考えるとお家の人向けのＣＭ
　を意識してたんだろうね。あれ。
　こうして細い所を歩くとさ、ツナ缶のＣＭ
　を思い出すよ。
　（メロディを）海から取れた美味しさ……

　　人魚コソデ、海から上がって来る。
　　防波堤の上のナツキを見上げる。

コソデ：ナツキ、それヤバイです。
ナツキ：え、どれ？
コソデ：その歌、ジャスラックが黙って無い
　です。
ナツキ：え、ＣＭの歌も著作権とかあるの？
コソデ：今、何でも厳しい時代ですます。
　何でもセクハラになる時代ですます。
ナツキ：それジャスラック関係無くない？
　あ～あ、誰もいない海くらい自由に歌わせ　
　てよ～。

コソデ：歌なら学校で歌うすれば良いです。
ナツキ：それが出来ないからモヤるんだよ。

　　市内放送、新型コロナウイルス対策に
　　ついての市長メッセージが流れる。

コソデ：最近よく聞くです。
ナツキ：陸の方ではね、コロナっていう病気
　が流行って大変なんだよ。
コソデ：治せるしないですか？
ナツキ：今はね、まだね。そっちは？
コソデ：オサカナフルエンザ、気を付けてる
　です。
ナツキ：おっ、早口言葉？
コソデ：オサカナフルエンザですます。
ナツキ：インフルエンザ的な感じ？
コソデ：きっとそうです、知らないけど。
ナツキ：知らないんかい

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