エンドロール
エンドロール
〈キャスト〉
主人公 男性
相手役 女性
説明役 女性
ダンサー 複数名 男女問わず
作家 男性
〈シナリオ〉
暗転の中、舞台中央に主人公が立っている。
主人公 (ナレーションのように)わたしはここに立っていた。そしてなにも見えなかった。わたしは、全て見えることを望んだ。
突然、照明がつく。
主人公 わたしは混乱した、突然明るくなったことに。前にさまざまな人間がいることに。そして彼らは皆、わたしを見つめているような気がした。わたしは動き回った。
主人公、舞台上を動き回る
主人公 ここはどこですか、とわたしは聞いた。
返答を待つ。
主人公 わたしは混乱した。前に座っている人たちはなんで喋らないんだ?おーい、え、見えてない?
観客の反応を伺いながら、上手、下手、と左右に歩く。
主人公 こっちに来たら、こっちを見る。
そっちに行っても、こっちを見る。
え、ずっと見てるよね?やっぱ見えてるよね?とわたしは聞いた。
いやいやいやいや、ちょっと待って。さっきからまじまじ見てるけ
どさあ、何で黙ってるの。ここはどこでわたしは誰、いつ何をどの
ようにやったのか、設定を教えてくれないと!とわたしは叫んだ。
設定。設定ってなんだ?
いやそもそも、自分で自分のこと誰だか分からないなんておかしい
じゃないか。記憶喪失?いやまさか、うーん…
とわたしはつぶやいた。
主人公 わたしは追い詰められていた。
あの、そろそろ何か会話してもらえませんか。
えっと、見えてるんでしょ。逆になんで会話成立しないの。お願
い、お願いします。お話してください!
ためらいながら土下座をする
主人公 わたしはプライドを捨てた。
くそ…何なんだよこの人たちは。はぁ、せめて誰か話せる人がいて
くれたらな、とわたしは望んだ。
相手役、下手から登場
(同時に)
主人公 うわああああ!
相手役 うわっ。
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